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歯石取りが痛いのはなぜ?歯石取りの治療について知っておきたいこと

左頬を押さえる女性

歯医者さんで歯石取りをしてもらったら歯茎が痛くなったり、出血した、しみるようになった、という経験はございませんか?あの痛みが苦手でついつい歯医者さんから足が遠のいてしまう方もいるのではないでしょうか。この記事では、なぜ歯石を取るのか?痛みや出血があっても大丈夫なのか?歯石取りの治療についてお伝えしていきます。


なぜ歯医者さんで歯石を取らないといけないのか?

●そもそも歯石はどうしてできるのか?
食べ残しなどの歯の汚れに細菌がついて増殖すると歯垢(プラーク)になります。歯垢は柔らかくてネバネバしているのですが、2~3日経つと唾液の中のカルシウム成分などにより石のように固くなってしまいます(石灰化)。これが歯石です。

●歯石は歯周病の原因。重症化すると歯が抜けおちることも。
歯石は、表面がザラザラになっていて、さらに歯垢がつきやすくなっています。歯石が細菌の塊であるプラークを集めて、その細菌から毒素が出され、歯茎の炎症、出血などの歯周病の症状を引き起こします。歯周病は重症化すると、歯を支える骨が溶け、やがて歯が抜けてしまうこともあります。

●歯石は見えないところにも。ブラッシングでは落とせません。
歯垢は歯みがきを丁寧にすれば、落とすことができます。しかし、歯石になってしまうと、とても強力に歯に吸着するので、歯みがきでは落とせなくなります。しかも、歯石は目で見えている歯茎より上の部分だけではなく、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の隙間にもできてきます。自分でも気づかないうちに歯石ができていている可能性があります。そのため、歯石を完全に取り除くには、専門家である歯医者さんで検査を受け、専用の器具を使って歯石を取り除いてもらう必要があるのです。

●歯周ポケットの歯石取り治療
歯周ポケットにできてしまった歯石や汚れを取る治療を、専門用語で「SRP」(スケーリング&ルートプレーニング)と言います。専用の器具を使って、歯の一本一本手作業で歯石を丁寧に落とし、歯の表面をきれいに磨きあげて歯垢や歯石がつきにくい歯にしていく治療です。

歯石取りの治療をすると感じる痛みや出血する原因は?

●すでに歯周病の症状が出ている
歯石が付いている状態ということは、炎症による腫れや出血などの歯周病の症状がでている場合がほとんどです。そのため歯石取りの治療を開始したときには、すでに痛みや出血がしやすい状態になっていることがあります。

●歯茎が下がってしまっている
歯周病や加齢によって歯茎が下がっていると、本来歯茎の中にある歯の根の部分が出てきてしまいます。歯の根の部分は刺激をうけやすいので触られたり、水や風が当たったりするとしみたり痛みを感じるようになります。

●大量についた歯石を取り除いた後、歯の表面が敏感になることも
歯石は長時間になるほど、大きくなり強固に歯に付着してしまいます。この大きくなった歯石が歯の表面を長い間カバーしている状態になってしまい、歯石を取り除いた後に歯の表面が敏感になって、しみたり痛みや違和感を感じることがあります。

治療後も痛みや出血がある時は?

歯石を取り除いた後、これまで歯石に覆われてしまっていた歯や歯茎が露出するので、しみたり痛みを感じたり、出血することがあります。このような症状は通常2~3日経過すると自然と収まってくるので、以下のようなケアをして様子をみてください。しかし1週間以上経過している場合は、他の原因も考えられるので歯医者さんに相談してみましょう。

●刺激の強い食べ物は避ける
歯石を取った後は歯の表面が敏感に反応する状態になっています。熱いもの・冷たいものは歯がしみる可能性があります。また歯石取り直後は歯茎が傷ついている可能性が高いので辛い食べ物などの刺激の強い飲食物は避けましょう。

●歯ブラシを「やわらかめ」のものに変える
歯みがきで腫れた歯茎を刺激しないように、歯ブラシの毛先を「やわらかめ」のものに変えて、いつもよりやさしく歯みがきをしましょう。

●強くしみる時は「知覚過敏用歯みがき粉」を


歯磨き粉の写真

歯が強くしみる感じがあってストレスを感じている人は知覚過敏応の歯みがき粉を使ってみていください。歯の神経に伝わる刺激を抑制する成分が含まれています。

やっぱり歯医者さんは苦手・・・という方には

それでもやっぱり痛いのは嫌だ、という方もいらっしゃると思います。しかし、歯石を放置してしまうとより強固に歯に付着して、取り除くときの痛みも強くなりますし治療回数も増えることになります。できるだけ痛みが少なく、治療回数を減らすためには日頃のケアが大切です。

●歯みがきを丁寧にして、歯茎を良い状態で保つ
歯石取りの治療をするまでに、歯茎を腫れや出血のない良い状態にしておくことが大事です。すでに歯茎に腫れや出血がある方は、毛先が「やわらかめ」の歯ブラシを使い、歯茎を傷つけないようにやさしくマッサージするように歯みがきをしてみてください。毎日、丁寧な歯みがきを心掛けましょう。

●歯科衛生士さんに相談を。治療前に麻酔をかけて
痛みが想定される場合は、事前に歯科衛生士さんに相談してみましょう。治療する歯の本数を少なくしてもらったり、強い痛みを感じるようであえれば、歯茎に塗るタイプの麻酔をかけることもできます。

まとめ

歯石取りの治療後の痛みや出血をおさえるためには、歯茎の状態を良い状態で保つことが一番です。毎日の歯みがきで丁寧に汚れを落とすこと。そして歯みがきで取り切れない汚れは、定期的に歯医者さんに通院してきれいにクリーニングしてもらうこと。この2つが最も大切です。治療を始めたばかりの時は痛みや出血があっても、歯茎の状態が回復してくれば、痛みもすくなくなってきます。歯周病や虫歯になって痛い思いをする前に歯石のチェックと治療を受けることをおすすめします。


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