銀歯によるアレルギー症状を感じたら。メタルフリーの虫歯治療のご紹介
近年、銀歯によるアレルギー、いわゆる 「金属アレルギー」 の患者総数は、増加傾向にあると言われています。しかし「銀歯がアレルギーの原因になりうる」ということを正しく理解している専門科はまだまだ多くありません。 金属アレルギーでは体にどんな症状が出るか、そしてアレルギー症状が出たときにの対処法についてご紹介します。
体の不調は「銀歯」が原因かもしれません
歯科治療が原因で起こる「金属アレルギー」をご存知でしょうか?
銀歯・金歯などはもちろん、根っこの治療を行う際に被せ物の下につける土台や入れ歯に使われるバネなど様々な金属を治療に使用することがあります。
銀歯といっても、使用されているのは銀だけではありません。水銀、スズ、銅、亜鉛などが含まれていることがあります。
もちろん、銀歯に使用される成分は国によって定められたルールがありますので、一定の安全性が認められた金属が使用されています。しかし、毎日の歯磨きや唾液などによって金属が錆びたり溶け出したりすることが考えられ、体内に取り込まれることとなるのです。特に、1970年代から80年代頃にかけて使用されていた「アマルガム」という素材については、水銀が含まれていました。水銀は臓器に蓄積することもあるため、古い銀歯をお使いの方や銀歯の状態を見て、アレルギーの自覚症状が無くてもやり直しをご提案させていただくケースもあります。
アクセサリー、ネックレス、ピアスなどに対する金属アレルギーは、金属と接する場所が部分的に腫れたりかぶれることがあります。
これに対して、お口の中の金属が原因の金属アレルギーは全身に症状が現れるのが特徴で、特に手や足に多く症状が見られます。
アレルギーの一つに花粉症がありますが、金属アレルギーもある日突然、アレルギー反応が起こりうる疾患と言われています。
代表的な金属アレルギーの症状
金属アレルギーでは、以下のような症状が出ることがあります。
●口の周りの症状
口内炎ができる、舌や口角の炎症・腫れ、頬っぺたの内側の粘膜のただれなど。
●味覚障害
味が分からなくなる味覚障害も金属アレルギーの可能性があります
●アトピー性皮膚炎
歯科金属アレルギーの場合、手足など全身にアトピー性皮膚炎が見られることが多くあります。
●掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひら、足の裏に膿を含んだ小さな袋が現れ、皮がポロポロとめくれることがあります。
●脱毛症
脱毛症の原因の一つとしても、アレルギーの可能性が考えられます。
この他にも、頭痛、腰痛、しびれなどとも関係があることが知られています。
こうした症状がもしもお口の中の金属アレルギーによるものであれば、いくら皮膚科を受診したり、ステロイドを使い続けたとしても根本的な原因を解決することができません。
様々な検査の結果、歯科治療による金属アレルギーの可能性が考えられる場合には、お口の中から金属をとり除く必要があります。
メタルフリーの治療法があります
歯科治療では、金属を使わないメタルフリーの治療方法もあります。
虫歯の大きさや状態にもよりますが、プラスチックやセラミックなどを金属以外の材質に取り換えることで症状の改善を図ります。
アレルギー症状が抜けるまでに時間がかかる場合もあり、かかりつけの歯科・医科(皮膚科等)と連携して治療を進めていくことが必要です。
当然、アレルギーを起こさない材質を使って再度治療をする必要がありますので、まずは皮膚科で「パッチテスト」を受けていただくことをお勧めしています。
まずはご自身のアレルギー反応の原因が何なのかをはっきりさせ、お口の中に該当する金属がある場合には取り除くというのが望ましい流れとなります。
皮膚科のパッチテストでわかること
パッチテストは、アレルギーや炎症の原因となる物質を詳しく調べることでができます。
背中や腕の内側にアレルギーの原因となりうる様々な物質をつけた試験紙(パッチ)を貼り、どんな物質に対してアレルギー反応が出るかを判定します。
検査期間は、項目数や検査の内容によって異なりますが、2~3日かかることもあります。また、長年ステロイドを使用してこられた方の場合、検査結果に影響が出る可能性があるのでまずはステロイドの使用を中断することがから始める必要があります。
パッチテストの結果は、皮膚科の治療に役立てるだけでなく、歯科治療やその後の生活に役立てることもできます。
金属アレルギーをお持ちの方でも問題なく銀歯を使われている方や、反対に金属のアクセサリーは問題ないものの銀歯に対してはアレルギー症状を感じる方など、様々な方がいらっしゃいます。気になったら遠慮なくご相談いただければと思います。