奥歯を抜歯した方が良いケースと抜歯後の治療法について紹介します
奥歯を抜歯した方、もしくはこれから抜歯をするという方もいらっしゃると思います。
できるだけ歯は残した方が良いですが、場合によっては早く抜歯をして治療を受けた方が良いケースもあります。抜歯をした方が良いケース、抜歯後の治療法について解説します。
抜歯をした方が良い3つのケース
主に奥歯の抜歯した方が良いケースは、虫歯や歯周病、事故による歯の破折の3つが挙げられます。
虫歯で抜歯が必要なケース
虫歯は虫歯菌が酸を出して歯を溶かしていく病気です。虫歯の放置は、酷い痛みや口臭、顎の骨の炎症、心臓病などのリスクを高めると言われています。
虫歯の治療は、虫歯が歯の中のどの位置まで進行しているかで決まります。
歯は表面が最も硬いエナメル質で覆われており、その下には象牙質、さらにその下には歯髄(一般的に言う歯の神経)があります。
虫歯がエナメル質や象牙質まで進行している場合は、詰め物を入れます。歯髄まで達している場合は、神経を取り除く治療をした後、被せ物を入れます。さらに虫歯が進行していて、歯の根っこしか残っていない状態になってしまうと抜歯を行うケースが出てきます。
歯周病が原因のケース
実は歯を失う理由として最も多いのは歯周病です。抜歯の原因の約40%を占めると言われています。
歯周病は放置していると、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)がどんどん深くなっていきます。歯茎と歯が離れていく状態です。深くなった隙間にはさらに細菌が溜まって繁殖します。やがて歯を支える土台である歯槽骨まで細菌が達すると歯槽骨を溶かし、歯がグラグラと動くようになり最後には抜けてしまいます。近年では歯周病が全身の疾患にも影響があることが明らかになっており、早期治療が望まれています。
事故による歯の破折のケース
事故などによる強い衝撃で歯にダメージを受けることがあります。歯の状態によっては治療できるケースもありますが、歯の根っこの部分で破折しているケースは抜歯が必要になる事があります。根っこの部分が折れたまま放置すると、痛みや違和感を感じるほか、破折した隙間から細菌が入って、炎症を起こす可能性があります。
歯を抜けたままにしていると起こる身体への影響
残念ながら抜歯となった後、歯が抜けたまま時間が経過すると、全身の健康にさまざまな影響が出てきます。
●隣の歯が倒れてくる。反対側の歯が伸びてくる
抜歯をすると、時間の経過とともに隣の歯が倒れてくることがあります。また噛み合っていた反対側の歯が、相手がいなくなったことで伸びてきてしまうこともあります。このように空いたスペースを埋めようと歯が動いてしまうと、歯並びや噛み合わせが悪くなって
- 噛む力が弱まる
- 歯みがきが難しくなって虫歯や歯周病が増える
- 頬がこけてしまい、顔の輪郭が変わる。しわやたるみの原因になる
- 頭痛や肩こりがひどくなる
などのトラブルが起こる可能性があります。
●発音が悪くなる
歯がなくなることで息が漏れやすくなり、発音が聞き取りにくくなることがあります。
●脳への刺激が少なくなる
歯の歯根の周囲にある膜には、噛むことで刺激を受け、脳に情報を送るセンサーの働きがあります。歯を失うことで脳への刺激が減ってしまいます。その結果、脳の働きが悪くなったり、認知症になる確率があがるとも言われています。
奥歯を抜歯した後の3つの治療法
歯は一本一本がそれぞれに役割を持っていて、抜けてしまうと身体全身の健康に影響があります。そのため抜歯後は早めに、補綴治療(人工物で歯を修復する治療)を受けることをおすすめします。
ブリッジ
失った歯の両隣にある歯を削り、その歯を土台として連結した人口の歯を「橋のように架ける」治療方法です。保険が適用できる安価なものもありますが、銀を使うので審美性に欠けます。自費の場合ですと天然歯に近い見た目のセラミック素材が使用できます。
しっかり固定できて、自然な噛み心地が得られる反面、土台になる歯は健康でも削らなくてはなりません。また噛む力をすべて土台の歯で受けるので負担が大きくなります。時間の経過とともに被せた歯と土台の歯や歯茎の間に隙間が出来て汚れがたまりやすくなるというデメリットもあります。
入れ歯(部分入れ歯)
残っている歯に金属のバネをかけて、人口の歯を固定する治療方法。着脱式なので洗うことが可能。衛生面で優れています。しかし、バネで他の歯に固定しているので、ブリッジに比べると噛む力は弱くなります。またバネをかけている部分は歯みがきが難しく、虫歯ができやすくなります。定期的に修理も必要です。位置によってはバネが目立つので審美性の面でもデメリットになることがあります。
インプラント
顎の骨に、金属でできたインプラント体という人口の歯の根っこを埋め込む治療です。審美性に優れているうえ、顎の骨にしっかりと固定されるので噛む力も強くなります。他の歯に負担をかけることもないので、健康な歯を維持できます。しかし、自費診療ですので高額になりやすいこと、手術が必要なので、顎の骨が薄くなっていたり、全身疾患を抱えている場合は治療を受けられない場合もあります。
まとめ
奥歯は、大きく、噛む力が最も強い歯です。失ってしまうと食べ物が噛みにくくなる他、周りの歯にも影響を与え、お口の中のバランスが崩れてしまいます。その結果、健康・見た目にも大きな影響を与えます。奥歯に異変を感じる場合は、歯医者さんで相談して、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。