歯の欠け、ヒビ割れの治療
歯は日常生活において、食いしばり、歯ぎしりなど様々な力を受けています。そうした力で突然歯が「パチッ」と割れてしまうことがあります。 また、無症状のうちに虫歯が進行し、突然割れることで歯が大きく欠けてしまう場合もあります。
自分の歯を鏡でチェックしていると、歯に「ひび」があると不安になる方も多いと思います。表面のエナメル質と言われる部分にとどまる程度であればそれほど大きな問題にはなりません。
歯の内部の方まで達すると、咬んだ時に瞬間的な痛みを感じたり、冷たいものや温かいもの、甘いものなどでしみたりするようになっていきますが、患者様がヒビ割れに気づかないケースも非常に多いため、違和感を見逃さないように注意が必要です。
なぜ歯が割れてしまうのか?
歯が欠けたり、ひび割れてしまうのは、歯がもろくなっていたり、大きな力が加わったりしていることが考えられます。
原因 1:歯髄の喪失
虫歯の治療で歯の神経を除去した歯はありませんか?
欠けたり・根っこが割れたりするのは歯髄を取り除いた歯で起こることがあります。歯の神経をとらなければならないほど重度に進行した虫歯は、すでに歯を削る治療がくり返されていることが多く、弱っている上に歯髄を失ってさらにもろくなっていることが考えられます。
また、大きな虫歯では被せ物を装着する際に「土台」を構築する必要があります。その土台が金属製の場合、天然歯より硬い金属が歯根に負担をかけてしまうことがあります。
原因 2:歯ぎしり、噛み合わせ、外傷
歯ぎしりや食いしばりのクセがあると、咬む力のバランスが偏って、一部分の歯に過度な負担がかかってしまいます。
また過去の虫歯治療などで作った詰め物・被せ物が合わない、かみ合わせが悪い場合には根本的な原因を解決する必要があります。外傷は、スポーツや事故などで歯をぶつけてしまうなど、想定しないような大きな力がかかることで歯が欠けたり割れたり、脱臼してしまうことがあります。
歯が割れてしまったときの自覚症状
目に見える部分ではなく、歯ぐきの中で起きる歯根破折は、気づくまでに時間がかかりがちです。次のような症状が見られたら、歯根破折が起きている可能性があります。異変に気づいたら、お早めに当院までご相談ください。
- 症状 1 歯ぐきが腫れるふくらむ
- 症状 2 被せ物が外れる
- 症状 3 咬むときに違和感がある
- 症状 4 歯髄を取り除いた歯が急に痛む
歯のヒビ割れの治療方法
ヒビが入っている場合
顕微鏡や拡大鏡を使って目視をして、ヒビの程度や場所を確認します。小さなヒビならば、その箇所を接着して、それ以上ヒビが広がらないように進行を抑えます。
エナメル質の表面のひびは多くの人にみられ、症状がなければ放置しても問題ありません。しかし、歯のひびから水などがしみる知覚過敏になることがあります。咬み合わせに原因がある場合はマウスピースを作ったり、咬み合わせを調整する必要があります。
象牙質までのひびの場合、象牙質は神経とつながっているため痛みが出てきます。そのため、プラスチックで補強したり、最悪の場合は神経を抜く治療を行う場合があります。
歯のヒビが神経に達してしまうと、我慢できないほどの強い痛みが出てきます。そのため神経を取り除き、被せもので補強を行います。
割れている場合
ヒビが進行したり、過度の力が歯にかかると割れてしまうことがあります。
割れてしまった歯は、基本的には虫歯と同様の治療を行います。ただし、根が割れている場合は抜歯しなければなりません。歯茎の中までひび割れてしまっている場合、歯ぐきに炎症が現れることが考えられます。歯が完全に縦に割れてしまっている場合や根っこの中までヒビが大きく入っている場合、抜歯を行うことになります。
歯のヒビ割れは、気づかずに放置されがちですが、すき間から細菌が入り込んで炎症を起こし、さらにそれが歯ぐきや顎の骨に広がって、中には顎の骨が溶けてしまうケースもあります。治療後の歯や歯ぐきに違和感を覚えたら、できるだけ早くご相談ください。